令和7年8月17日(日)水戸市のザ・ヒロサワ・シティ会館小ホールにおいて行われた吟道大学講座には、236名の会員が聴講。今回の演題は『笠間の偉人 小野友五郎の足跡』と題して、笠間市の教育長を歴任され、現在、小野友五郎を伝えてゆく会会長を務める今泉寛先生に90分にわたりご講話を頂きました。耳から入る知識や情報を、少しでも自身のモチベーションの向上につなげようとする会員の真剣さが印象に残った。
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小野友五郎(1817~1898)は、常陸国笠間藩士の家に誕生。幕末から明治にかけて活躍した日本の技術者。咸臨丸の航海長として、太平洋横断に貢献し渡米。その後も鉄道測量や製塩改良など、多岐にわたる分野で活躍した笠間が生んだ科学技術者である。勝海舟らと軍艦による日本人初の太平洋横断を成し遂げたこの航海は、日本の近代化を象徴する出来事として歴史に名を刻んでいる。明治31年には、製塩改良の功績により緑綬褒章を授与されている。幕末から明治にかけての激動の時代を、数学者・測量術・航海術・製塩・海軍軍人・財務官僚その他幅広い分野で活躍した、まさに『日本の発展の礎を築いたひとり』であります。明治31年82歳で逝去。
◆小野友五郎の8つの功績 |
① 咸臨丸の航海長として渡米する |
② 国産初の蒸気軍艦『千代田形』を建造する |
③ 小笠原群島実測図を作成し小笠原領有に貢献する |
④ 江戸湾の海防計画を構想する |
⑤ 横須賀製鉄所建設を推進する |
⑥ 使節団の団長として再渡米し軍艦や兵器などを購入してくる |
⑦ 鉄道測量に従事する |
⑧ 製塩改良事業に従事する |
咸臨丸の活躍で日本領土となった小笠原諸島。このときの小野友五郎の詠める歌一首、「鴬の 声聞き乍ら 行き暮れて これや初音の 港なるらん」この外交交渉においても、小野友五郎による小笠原群島実測図の存在が大きい。
吉田裕峰理事長の発声で、小野友五郎が小笠原諸島父島において詠まれた和歌『鶯の』を会場のみなさんで大きな声で朗誦した。
小野友五郎を通して子供たちに伝えたいこと・・・笠間市内の小学校では、小野友五郎新聞コンクールや、小野友五郎博士ちゃんコンクールをおこなっている。また、歴史愛好家たちによって『咸臨丸サミットin笠間』と題して講演をおこなったり、会をはじめ関係する子孫が登壇し、パネル討論を開いたりして、先祖への思いや咸臨丸の意義などについて話し合い、広く伝え合う機会を設けている。
戦後80年、先人方々には感謝しなければなりません。荒廃した日本を世界有数の経済大国にし、今このように生活や仕事が出来る環境にあるのは、先人方々のお陰様であると。吟舞界も同様、先人先生方の教えを伝承していく事は、日本の文化を未来へつなぐ重要な課題であることをあらためて痛感する。
◆図書のご案内 本の概要・・・江戸末期に刊行された『量地図説』を現代仮名遣いに改め、注釈を加えさらに現代語訳を施したもの。『量地図説』を現代に蘇らせようと考えた主な理由 ①小野友五郎の偉大なる業績を広く知ってほしいこと ②和算や測量・工芸技術など幕末の豊かな文化に触れ興味を持ってほしいこと ③数学や測量学の教材としてほしいこと Amazonで購入いただけます。
本日は、今泉寛先生には、お忙しいところ講演資料まで作成いただき、ユーモアを交えながら、またCGで画像や映像を使って分かりやすく進めて頂き、大変勉強になる講演を賜りまして誠に有難うございました。また機会がありましたら、ぜひお話を聞かせて頂ければと思います。
会員の皆さんお疲れ様でした。いかがでしたでしょうか?昨年のアンケートの中に、吟詠に深く関わりのある演題を希望するといった意見を頂いておりますが、歴史を考察することで先人たちの苦労や教訓を知り、視野を広げ明日へと繋いでいこうではありませんか。講師・演題の選考にはご苦労があるようです。どうか理解していただきたく思います。
今年のこの暑さはあと50日、いやもっと長く続くのでしょうか?地球温暖化の影響で高温多湿となり、亜熱帯化の勢いが増しています。早く澄み切った青空に心地よい秋風のふく清々しい陽気がやってきてほしいですね。虫の音が待ちどうしい。ジーーーっというハルゼミの鳴き声には、夕暮れ時の静寂さ、どこか物悲しい響きを帯びているようで黄昏てしまう。本日はお暑い中大変お疲れさまでした!
◆茨吟連 年内行事
9/21(日) | 第48回県東地区協議会大会 | 潮来公民館 |
9/28(日) | 第42回県西地区協議会大会 | 筑西市コミュニティプラザ スピカ6階 |
10/18(土)午前 | 師範・準師範認証審査会 | ザ・ヒロサワ・シティ会館 小ホール |
10/18(土)午後 | 来年度の吟士権コンクール課題講習会 | ザ・ヒロサワ・シティ会館 小ホール |
11/15(土) | 第56回茨城県芸術祭吟詠剣詩舞道大会 | 東海文化センター |